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*AriaLien Sub BLOG*

◆夜明けのアリア

夜明けのアリア 1話




小さな頃から夢見ていた。


真っ暗闇の中、私が立つ場所にだけ光が当たり、其の静寂の中高らかに響き渡る高らかなアリア。


真っ暗闇の中だというのに私を見つめる其のひとりひとりの表情は壇上からも窺い知れ


やがて歓喜の声が私の全てを包むのだ。



───私はそんな歌姫になりたいとずっと夢見ていた









「先生、さよーならー」
「はい、さようなら」

今日最後の生徒が帰り、室内はあっという間にシンッと静かになった。

(はぁ…疲れた)

強張った肩を回すとコキッと音が鳴った。


年が明ければいよいよ30代に突入しようという年の瀬。

「う~寒い」

夕刊を取りに家の外に出た瞬間、突風に吹かれた。

少し錆び付いたポストから夕刊を取り出すと、白い封筒が少し風に舞って地面に落ちた。

慌てて其の封筒を拾い差出人の名前を見た瞬間、時が止まった。


(……あぁ、そういう事)


止まった時間は一瞬だった。

直ぐに五感は動き出し、強烈な寒さを感じた私はそそくさと家の中に戻って行った。


無造作に夕刊と封筒をテーブルに置き、私は其のままソファにドカッと座り込んだ。

(…馬っ鹿みたい、私)

物凄く泣きたい気分なのに何故か涙は出てこない。

代わりに湧いて出て来るのはほんの少しの焦燥感と、やっと終わったのかという安堵感だった。

見なくても解る白い封筒。

裏面の差出人は両家の連名。

(いつか迎えに来てくれるかもと期待していた私って…間抜け過ぎる)


其れはよくある話。

前途洋々のヴァイオリニストの卵とこれから世界に躍り出て活躍されるだろうと注目されていた若き歌姫の恋。

音楽大学で知り合い、恋に落ちたふたりは共に目指す夢に向かいながらも愛を育んで来た。

先に世界に踊り出たのは歌姫だった。

しかし世界という大きな舞台で躍進するには歌姫の精神は弱過ぎた。

二年ともたずにストレスと過労で歌姫は其の美しい声を失った。

そしてあっという間に転落する人生。

後から世界に躍り出たヴァイオリニストの卵は、いつか実現しようと誓い合っていた世界を舞台にした歌姫との共演を諦めていなかった。

日本で静養する歌姫があの美しい歌声を取り戻す其の時まで待つと──そう云った。


しかし無常にも月日ばかりが過ぎ──


(…そっか、私が悪いの、か)

いつまで経っても戻らない声。

静養のためにと田舎の実家に戻り、亡き両親が残した平屋の家でピアノ教室を開きながら生計を立てている私はすっかり元の世界に戻る意欲を無くしていた。

そんな私に愛想をつかした彼を責める権利など私にはないのだ。

(私はもうとっくに諦めてしまっていたんだ)

住む世界が違って、ふたりの接点が交わる事はもう決してない。

彼の隣で微笑む私の姿はとっくに想像出来なくなっていた。

そんな私の気持ちに彼はやっと気がついたのだ。

だから私ではない歌姫との結婚を決めた。


(…ごめん、裏切ったのは私だった)

そう思った瞬間、やっと一筋だけ涙が零れたのだった。

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夜明けのアリア 2話



「だけどさ、いくら私が悪いからってわざわざ結婚式とか招待するかなぁ」

『あーそうだね、ちょっと其の神経は解らないけどね』

昔付き合っていた彼から届いた結婚式の招待状を手に私は大学時代からの友人のつぐみに電話で愚痴っていた。

「しかもウィーンで挙げる式に招待だなんて…信じられる?」

『其れ、もう風音が来ない事前提で出してるんじゃない?』

「え」

『彼にしたら今更なんて云って別れたらいいのか解らなくなったんじゃないの?だからさ、遠回しに結婚式の招待状を送りつけて其れで終わりにしたかったんじゃないの?』

「…」

『まぁ、真相は解らないけどさ』

「…うん…そう、だね」

私と彼の事をよく知るつぐみは確信をついた事を云う。

ダラダラとした関係が続いていた遠距離恋愛。

此処一年はもうほんの数える程しか連絡を取り合っていなかった。

自然消滅していたと私たちを知る人は云うかも知れないくらいの関係。

『彼にしたら風音に黙って結婚するのも、ハッキリと別れ話をするのも躊躇っちゃった結果なんじゃないのかな』

「…まぁ、気の弱い処あったからね」

『うん、そうそう。だからさ、後はもう風音の気持ち次第だよ。文句のひとつでも云いたいならウィーンに行くのもいいんじゃないの?』

「…」

(文句…かぁ)

確かに今まで中途半端な関係でいた事については文句のひとつも云いたい。

ちゃんと関係を終わらせていない状態で新しく彼女を作っていた彼に対しては憤慨する処もあった。

(…だけど)

彼をそんな風にしてしまったのは私のせいでもあるのかも知れない。

──だから

『おーい、風音?』

「つぐみ、話訊いてくれてありがとう。どうしたいのか解ったから、私」

『…そう?ならよかった。じゅあね──あ、たまにはこっちに出て来て店に寄ってよね』

「ん、機会があったら。うん、じゃあね」


通話を終えた私はなんだか気持ちがスッとしていた。


曖昧な関係だった私たち。

其のお蔭で前に進む事も戻る事も出来なかった。

だけど今は吹っ切れる事が出来そうだと思った。

彼が私ではない人と人生を歩んで行く事を決めたのなら、私だって其れに応えなくてはいけない。

(私も前に進まなくっちゃいけないんだよね)

そんな気持ちになれた事に感謝しなくてはいけないのかなとすら思えたのだった。







「うぅ~寒い!」

12月下旬の陽暮れの時は短い。

あっという間に漆黒の闇が其処らに広がっている。

招待状の返信をポストに投函した後、食料雑貨を扱う昔ながらの商店に寄って夕ご飯の調達をした。

出欠席状の返事は勿論【欠席】

だけど其処にひと言添えた。

【末永くお幸せに】

其の言葉は決して負け惜しみや皮肉ではなかった。

私の心からの言葉だった。

(彼には幸せになってもらいたい)

私自身が幸せになるために、其のきっかけと決意が込められたひと言だった。

(そんな私の心境を彼が素直に受け取るかどうかは解らないのだけれどね)

言葉其のままに祝辞として受け取るか皮肉と受け取るか──其れは彼に任せるとした。


漆黒の闇の中、ぼんやりと点る我が家の門灯が見えて来た。

門をくぐって引き戸の鍵を開けていると

『にゃぁ』

「え」

庭の方から猫の声が聞こえた。

この辺は野良猫が多くて、たまに私の家の庭に入り込む事があった。

「またにゃんこが来てるのかな」

私はグルッと回り込んで庭に足を踏み込んだ。


───瞬間


グニャ

「?!」

踏み込んだ足が何か柔らかいものを踏んづけた感触がして飛び上る程に驚いた私だった。

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夜明けのアリア 3話



「ぎゃっ!」

何か柔らかいものを踏んづけた──と思った瞬間、私はとんでもなく色気のない声を上げてしまった。

数歩後ずさって目を凝らして踏んづけた物の正体を見ようとする。

すると

「~~痛ぁ」
「?!」

呻く様な低い声が聞こえ、また私は驚いた。

いきなりのっそりと黒い物体が盛り上がり、そして

「………あ」
「…」

暗闇だというのに何故か一瞬言葉を発した相手と目が合った、と思った。

ほんの数秒、見つめ合った時間があった。

だけど其の静寂はあっという間に相手の言葉によって掻き消された。

「わぁぁぁぁ、ほ、本物ぉぉぉぉー!!」
「?!!」

いきなり聞こえた耳を劈(ツンザ)く声に驚いた。

と同時に

(ほ、本物?本物って何がっ)

暗闇に目が慣れて来て、凝らして見れば声を発したものは何故か私を拝んでいた。

(な、何、何…なんで拝まれているの?!私)

戸惑う気持ちが大きかったけれど、此処は冷静にならなくてはいけないと思った。

「…あの」
「! しゃ、喋ったっ!」
「?!」

私に向かって拝んでいた相手は私の声を訊いた途端其の場でワタワタし始めた。

「…」

其の動向がとても気持ち悪いものに見えてしまって、私は思わず後ずさった。

そして一目散に庭から明るい玄関先までやって来て慌てて家の中に入った。


ガチャガチャ


震える手で鍵を施錠して、其のまま持っていた携帯を取り出し駐在所に電話しようと手を掛けた瞬間


『あの!あの、勝手に庭に入ってしまってすみません!』

「!」

玄関のガラス扉にぼんやりと映る細長い影と声にビクッと体は強張った。

『ぼ、僕は決して怪しい者では…あ、庭に居た時点で怪しいかも知れませんが、其の、泥棒とか変質者とかそういった犯罪者ではなくて』

「…」

『其の、僕は…僕は…あなたの……束原風音さんのファンなんです!』

「?!」

── ツカハラカザネサンノファンナンデス ──

(は…はぁ?!)

そんな言葉を訊いたのは久しぶりだった。


声楽界から引退して六年。

この田舎に燻って数年。

且つて掃いて捨てる程に訊いた賛辞の言葉を今更こんな場所で訊く事になるとは。

(何…何なの?!)

心臓があり得ない程にドキドキと高鳴っている。

すっかりただの人になりさがっていた落ちぶれた歌姫のなりそこないの私には強烈な一発だった。

『なのでどうか…怖がらないでください。あなたに怖がられたら僕…どうしたら…』

「…」

扉の向こう側で段々と小さくなって行く声に私の胸は徐々に落ち着いて来た。

『あの…』

「わ、解りましたから」

『えっ』

「もう、怖がったりしていませんし、其の、どうして庭にいたのかは知りませんけれど、其の、もういいですから」

『…』

「何かご用があって…訪ねて来たんですか?」

『…』

精一杯譲歩して私はこの全く見ず知らずの人に対してなるべく愛想よく話し掛けた。

素性が解らない以上、鍵を掛けた扉を開ける事は決してしないけれど。

(ファンっていうのも何処まで本当か解らないし)

女がひとり暮らしをすると防犯意欲は高まる。

もっとも辺鄙な田舎町の此処に於いて犯罪紛いな事なんて起こったりはしないと思うけれど。


「…?」

私が話し掛けた時からしばらく、扉の向こう側の人は言葉を発しなくなった。

(何、どうしたの?)

ガラス扉に映る影があるから其の場に居る事は解っているけれど。


沈黙の時間が数分続いた後


『あの…また出直してきます。夜分に失礼しました』

「え」

言葉を云い終えると同時にガラス扉に映っていた影はなくなった。

ザリザリと砂利を踏みしめる足音がやがて遠ざかって行った。


「…」

(一体…何だったんだろう)

突然庭に寝転んでいて、其れを私が踏んづけてしまって、そして──

『其の、僕は…僕は…あなたの……束原風音さんのファンなんです!』

「~~~」

私が舞台でスポットライトを浴びていた時を知る人だったのだろうか?

もう昔の事過ぎて私本人ですら其の栄光の日々を忘れかけていたというのに。

(あれは…誰だったの?)


予感がした。


私の中を静かに、でも激しく侵食しようとやって来る者の息遣いが。


落ちぶれた私の何かが変わるかも知れないという予感が微かにしたのだった。


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夜明けのアリア 4話



「…」

深夜。

早目にベッドに潜り込んだ私は浅い眠りの中、何度も目を覚ます。

(はぁ…眠れない)

つい数時間前にあった事が未だに私の胸を高鳴らせていた。


『其の、僕は…僕は…あなたの……束原風音さんのファンなんです!』


(あぁ、もう!)

何度も何度も頭の中でリフレインする言葉。

其れと同時に湧いて来るのは

(あの人は一体…誰?)

そんな不思議な興味。

表舞台から姿を消して数年。

何故今更私のファンだなんて云う人が私の元にやって来るのだろうか?

(そういえば顏、よく解らなかった)

暗闇の中で其の顏ははっきりとは見えなかった。

ただ発した声から若い男だという事と背丈はあまり私と変わらない、という事だけ。

玄関の、ガラス扉越しに会話した時の状況が反芻される。

(多分…悪い人じゃない…んだよね)

全く素性の解らない人なのに何故かそう思ってしまう事に理由はつけられなかった。

ただ何となく…

(そう、思っただけで…)

色々考えていると次第に眠りの底に引きずられて行く感覚がした。


──だけど




~♪



(えっ)


微かに耳に届いた音があった。


(え…何)


~♪♪


外から微かに聴こえて来た其の音は音色になっていた。

(これ…弦の音)

私は思わず起き上がり、携帯で時間を確認すると

(2時?!)

まさに丑三つ時の恐ろしい時間帯だった。

(なんでこんな真夜中にヴァイオリンの音が聴こえてくるの?!)

最初其の音は心霊的なものかという恐ろしさがあったけれど


♪~♫~♪~


(あ、これって)

聴こえて来る甘く切ない音色がよく知っている曲だった事に私は思わずベッドから立ち上がっていた。







「はぁ、はぁ…」

気が付けば着替えて音のする方に向かって歩いていた。

(この曲)

音を辿って足を踏み込んでいたのは自宅の裏山だった。

鬱蒼と茂る草木をかき分けて月明かりと音色だけを頼りに歩くけれど、元々道はあってないような獣道。

これ以上奥に進む事が怖くなった私は少し開けた場所にあった石に座り、其の音を声でなぞった。


「Io ti sento amore Quando col cupo suono Si muovono le onde Nel placido boschetto caro Spesso ad ascoltare seduto c'è」

───私は貴方への想いを感じている 愛しい人よ くぐもった声が 波のようにうねる時 私は美しい静かな森へ行き腰かけて其の声を聴く───



久しぶりに奏でるアリア。

思った以上に声が出て、夢中になって声を音色に乗せてしまっていた私はやがて気が付く。

「…え」

いつの間にか聴こえていた音は消え、其の代わりに私の傍に立っている人がいるという事に──


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夜明けのアリア 5話



何処からともなく聴こえて来たヴァイオリンの音色に惹きつけられて、真っ暗闇の中を駆けて来た私の前に居たのは──

「…」

月明かりでぼんやりとしか見えなかった其の人の顏の、やけに光を放っているふたつのものから流れるものがあった。

(え…な、泣いている?!)

私は得体の知れない其の人を前に、怖さとか恐ろしさとか、そういった感情よりも先に

「…綺麗」

双眸から流れ落ちた光るものがなんて綺麗なんだろうと…

つい感情のまま口から出た言葉だった。

私の言葉を訊いた其の人はほんの数秒の沈黙の後、急にあたふたしだした。

そして

「き、綺麗なのはあなたです!」
「!」

そう発せられた声に私はハッとなった。

「な…なん…なんて綺麗なアリア…まさか…まさかこんな処で聴けるなんて…信じられないっ!」
「…あなた…もしかして」

歓喜の声色で次々に賛辞の言葉を投げ掛ける其の人の声を私は知っている。

(庭にいた不審者?!)

そう、今私の目の前で子鼠みたいな動きをしている彼は、数時間前に自宅で遭遇した挙動不審な自称・私のファンだという人物だった。

「あの…も、もう一度歌っ──」
「あなた、なんでこんな時間にこんな処にいるの?!」

相手が何か云ったのを遮って私は少し声を荒げて云った。

「…」
「こんな夜中に、こんな山で…あなた一体…」
「…あの…僕は…あ、あなたに逢いに…来ました」
「は?」
「先刻も云いましたが僕はあなたのファンで…八年前、初めて行ったオペラのリサイタルであなたの歌声を聴いてから僕はずっと…ずっとあなたのファンで…」
「八年前…?」
「はい、八年前の12月11日、豊重文化会館の大ホールでのリサイタルです!」
「…あ」

其れは私の中で一番強く残っている記憶だった。

(あの時は…伴奏者が…)

そう、其れは国際コンクールで優勝して凱旋記念リサイタルとして初めて行われた単独リサイタルだった。

私の希望でヴァイオリンの伴奏にまだ無名だった彼を指名して…

(初めて公で共演した最初で最後の)

時折胸がズキンと痛んだ。

もう私の中では忘れたと思っていた記憶と彼だったはずなのに──


「! 風音さんっ」
「…っ」

不意に視界が歪み、足元から力が抜けて行く感覚に襲われ私は其の場によろける様に尻餅をついた。

「大丈夫ですか!僕につかまってください」
「あっ」

其れはあっという間の出来事だった。

「家までお送りします」
「ちょ、ちょっとっ」

へたり込んだ私を其の人は素早い動きで背負い込んでいた。

(お、おんぶ?!私、知らない人におんぶされているの?!)

あまりにも驚き過ぎて少し脳内パニックになっていた。


「直ぐに着きますからね、しっかりつかまっていてください」
「…」

背中越しに聞こえる力強い声と、決して広くはないけれど温もりを感じる背中の心地よさに、何かを云うのが躊躇われた私だった。




暗闇だというのに恐ろしく速いスピードで自宅に到着した彼は、扉の前で私をゆっくりと下ろした。

「あ…あの…」
「そ、其れじゃあ僕はこれで」

私がお礼を云う間を与えずに彼は立ち去ろうとした。

そんな彼に私は思わず「待って!」と手を伸ばした。

「えっ」
「ま、待って。あなたは一体…」
「…」
「あっ…と、違う。まずお礼。あの、ありがとうございました」
「い、いえ…僕は何も…」

暗くてよく解らないけれど、きっと赤くなっているんだろうなと想像出来る反応だった。

「あの、よかったら…どうぞ」
「──え」
「中に…」
「えっ…!ダ、ダメですよっ!僕なんかを…よく知りもしない僕をそんな…」
「知らないから訊かせてください」
「え」
「あなたの事、訊かせてください」
「…」

何故突然私はこんな事を云ったのだろうと不思議な気持ちだった。

素性も得たいも知れない男を家に上げようだなんて防犯意識の欠如しまくりだ。

──でも

『…八年前、初めて行ったオペラのリサイタルであなたの歌声を聴いてから僕はずっと…ずっとあなたのファンで…』

『八年前の12月11日、豊重文化会館の大ホールでのリサイタルです!』


彼のあの言葉がやけに私の心に突き刺さった。


(あのリサイタルを知っているなんて…)

そんな感慨深い気持ちが普段なら絶対に起こさない行動を起こさせたのだと思ったのだった。

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