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*AriaLien Sub BLOG*

◆世界の中心に暴君

世界の中心に暴君 1話




人間の性格って生まれ持った性質が反映される割合はとても少ないと思う。

大体育った環境というものが其の後の性格を大きく形どってしまうと思うのだ。

こればかりは本人のせいじゃない。

そういう風にしてしまった環境が悪いのだと強く思った──







「お願いです!あと、あと十日…せ、せめて一週間待って下さい!」

「…」

初めて見た光景に私はとても衝撃を受けた。

あれは私が小学校に入学した年の誕生日の日だった。

お父様に連れられて誕生日祝いのために食事に出かけようとして玄関を出た時、其の女の人は屋敷の前で土下座していたのだ。

「おい、誰が此処まで入れていいと云った!」
「社長、すみません!ちょっと目を離した隙に入り込んだみたいで…おい!此処はおまえみたいな人間が入っていい処じゃねぇぞ!」
「お願いします、お願いします!どうか…どうか期限を」

女の人はどんなに蹴られても叩かれても頭を上げず、ひたすら何かをお願いしていた。

「お父様、この人、何してるの?」
「おぉ、凛子や。見苦しいものを見せてしまったね。おまえは見なくていいんだよ、さぁ、行こうか」

(あっ)

お父様に手を引かれて車に乗り込もうとした時、ふと目の端に入ったものがあった。

其れは男の子だった。

(あの子)

柱の陰でジッと女の人を泣きそうな顔をして見ている男の子がいたのを見つけた。

幼稚園も小学校も女の子ばかりで、男の子を見た事がなかった私は物珍しく思ってお父様の手を振り解いて其の男の子の処に寄って行った。

「ねぇ!名前、なんていうの?」
「えっ」

間近で見た其の男の子は女の子みたいだった。

パッチリした目元に小さな鼻に形のいい唇。

(お、お人形みたい!)

着ている物は汚くて其処だけ見れば何てことないのに、顔を見ると等身大のお人形みたいだと思った。

「あんた、可愛いわねぇ」
「あ…あの…」
「…」

マジマジと見て、どうしてか急にこの男の子が欲しくて堪らなくなった。

「凛子、そんな小汚い子どもに近寄ってはダメだろう!」
「お父様、凛子、この子が欲しい!」
「は?な、何を」
「欲しい欲しい!今日は凛子の誕生日なんだから何でも買ってくれるって云ったぁー」
「そ、其れは店に売っている物をという意味で、そんな子どもを買うとは」
「…買ってくれないなら凛子、お父様嫌いになる」
「! り、凛子ぉ~」

私はこの歳にしてどうしたら欲しいものが手に入れられるかという事を知っていた。

お父様にこの切り札を出せば買ってもらえないものなど何もないのだと知っていたのだ。

「ねぇ、いいでしょう?お父様」
「……し、仕方が…ない」
「わぁ、ありがとう、お父様!大好き」

「…」


そうして私は男の子の気持ちも何も考えずに、ただ欲しいと思ったから其れを手に入れただけだったのだ──





そんな事があった7歳の誕生日から瞬く間に月日は過ぎ、気が付けば私は成人式を迎えた歳になっていた。


「へ?今、なんて云ったの?」
「ですから、倒産したと云いました」
「倒産って…えぇっと…会社が潰れたって事の、倒産?」
「よくご存じでしたね、其の通りです」
「……」

これから遊びに行こうと支度していた私にそう告げた男は、あの日、私の7歳の誕生日の日に欲しいと強請った可愛い男の子だ。

「この屋敷も借金の抵当に入っていますので、出来るだけ早く立ち退く準備をしてください」
「へ?」
「聞こえませんでしたか?もう凛子さまはこの屋敷に住む事は出来ないと云っているのです」
「…」















(えぇぇぇぇぇぇぇ──!何、其れぇぇぇぇ)



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世界の中心に暴君 2話



私は早乙女 凛子(サオトメ リンコ)

この春短大を卒業して、花嫁修業という名の自由気ままな毎日を送っていた。

早乙女家は代々ここら辺一帯の膨大な土地を所有する大地主であり、代々金貸しを生業として大きくなったいわゆるお金持ち──という家だった。

其の早乙女家の現当主である早乙女 順三郎の娘が私だ。

私の父は早乙女家の三代目で、早乙女家の栄華は昔と変わらず現代でも遜色なく色濃く栄えているのだとばかり思っていたのに──


「実は数年前から少しずつ衰退していたのです。傘下の事業部から順に潰れて行き、そしてとうとう本社の営業もままならなくなりました」
「な、なんでそんな事に…」
「ひとえに社長のワンマン経営のツケでしょうね」
「ワンマンって」
「凛子さまはご存知ではないと思います。社長はひとり娘の凛子さまを溺愛していましたから決して裏の、本当の顔を見せた事はありませんでした」
「裏の顔?」
「社長は高利貸しの負債者に対しては徹底した厳しさで取り立てを強攻していました。情けを一切掛けずに、どんな手段を取らせても借りたものを返させていました」
「…」
「時には死人が出る事もありました」
「!」

(まさか…そんな)

私には甘くてべったりで、どんな我儘も訊いてくれた優しい父という印象しかない。

其れがまさか──

「そういう訳で昨日付けで会社は倒産、多額の負債金だけが残りました」
「負債金って…いくらよ」
「凛子さまに云ってもどうにもならないぐらいの途方もない金額です」
「…そ、んな」

私はあまりにも突然の事過ぎて、何をどうしたらいいのか全く解らず其の場にへたり込んでしまった。

「既に負債に充てられるものは全て抵当に入っています。この屋敷も其のひとつになります」
「…」
「屋敷に勤めていた従業員には細やかながら退職金を配り、全てを解雇しました。残るは凛子さまただひとりという事になります」
「ちょっと…待ってよ、お、お父様は?」
「…」
「お父様はどうしたのよ!昨日朝、私が出かける時に挨拶したきりで…まだ会っていないわ。お父様に会わせてよ!」
「いらっしゃいません」
「どういう事よ」
「今頃はインド洋周辺の海域を目指しているんじゃないでしょうか」
「は?」
「社長は少しでも借金返済をするために昨日午後から遠洋マグロ漁船に乗り込んでいます」
「?!」

(嘘っ!)

信じられないという様な顔をして茫然としていると、彼、加々宮 天眞(カガミヤ テンマ)は云った。

「さぁ、必要最低限のものを鞄に詰めて屋敷から出なさい」
「! て、天眞、あんた何様よ!私にそんな口を訊いて──」

天眞を叩こうとして振り挙げた腕は簡単に天眞に取られてしまう。

「!」
「俺は社長から頼まれて屋敷に残って残務処理をしているんです。あの社長が頭を下げて俺に頼んだんですよ」
「…」
「其の哀れな姿勢に少しだけ仏心を出して、誠意を持って凛子さまにも接しています──しかし本当なら」
「! んっ」

いきなり捉まれていた腕が引っ張られ、其のまま天眞の体にすっぽりとはまって強く唇を押し付けられた。

(キ、キス?!)

押し付けられた唇は直ぐに離され、其れと同時にトンッと体も離された。

「こういう事をされても何も文句を云えない立場になったのですよ、あなたは」
「な…なっ…」

まともに喋る事が出来ない私に天眞は酷く蔑んだ表情を見せた。

其れは今まで私が知っている天眞の顔じゃなかった。

「あなたには情けをかけてこんな状況になった今でもあえて丁寧に喋っています。其れは今までの恩に報いる俺なりの情けです」
「…」
「しかし、この屋敷を一歩出れば其れもなくなります──覚えておいてくださいね」
「…」

無機質な表情で、機械的に云うだけ云って天眞は部屋を出て行った。


私は再び其の場にへたり込んで、混乱する頭で一生懸命冷静になろうとした。

(お、落ち着くのよ、凛子…落ち着いて…よく考えるの)

何度も其ればかりを繰り返し考えるけれど、一向に頭も体も動かずにいた。

ふと目に入った数々の写真立て。

其の中には私を産んだと同時に亡くなったお母様の写真があった。

(お母様…私、どうしたらいいの?)


早乙女の屋敷という温室とお父様の庇護の下でぬくぬくと育って来て私は、いきなりひとりぼっちで外に放り出される恐怖にただ震えるばかりだった。


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世界の中心に暴君 3話



ノロノロと動き出した私はとりあえず短期間の旅行に行く様な荷造りをして屋敷を出た。

昨日までは大勢の使用人が『お嬢様、行ってらっしゃいませ』と口を揃えて云っていたのに…

(…本当にもう誰もいないのね)

ガランとしている玄関ホールを見つめてため息が出た。


そして私は生まれて初めて誰に見送られる事なく、屋敷を出たのだった──


門まで続く長い道をトボトボと歩く。

頭に浮かぶのはお父様の事、そして

(天眞…)

最後に私に無礼な態度を取った加々宮天眞は、今から13年前、私が7歳の誕生日を迎えた其の日に見つけてお父様に「欲しい」と強請った5歳年上の男の子だった。

其の日、借金の返済期限を伸ばしてもらうために早乙女の屋敷に直訴に来た母親と共にいたのが天眞だったのだ。

天眞の家は天眞が5歳の時に父親が亡くなって以来母親がひとりで天眞を育てて来た。

亡くなった父親が早乙女の会社から借金をしていて、其れを母親が引き継いで返済していたという事だったが、期日に払えないという事が何度かあり、とうとう住んでいる家を抵当に入れられる事態になって困り果てたギリギリの状態で直訴に来ていたという事だった。

そんなタイミングで私は天眞を見つけ、気に入り、お父様に欲しいと強請った。

私のお願いを訊いてくれたお父様は天眞を私付きの世話係という形で母親から引き取り、其の代わりに借金は全てチャラにするという交換条件を出し、母親は泣く泣く承知したという顛末。

其の時の私はただ天眞が欲しい、傍に置いておきたいと其ればかりの気持ちで天眞をおもちゃのひとつの様に手に入れたのだけれど、今となっては時々考える事があった。

あの時、天眞はどんな気持ちだったんだろう。

母親から引き離され、屋敷で過ごす事になって全ての日常を私を中心に考えて行動する事を強要された時の気持ちは…

(どう、思っていたのかしら)

私には解らない。

だって私は天眞じゃないんだから。

──ただ

母親から引き離される気持ち、というのは私にも何となく解る気持ちなのかも知れないと思った。

母親の温もりを知らずに生きて来た私だけれど、やっぱり見た事も触れた事もない母でさえ恋しいと思うのだから。

(きっとずっと私の事を恨んで生きて来たんだろうな…天眞は)

だけど其の立場上、表面的には天眞は私にとっていい遊び相手になった。

何でも私のいう事を訊いて、望みを叶えて、私の傍にいる事が恥ずかしくない様に早乙女が用意した名門の中高大一貫学校を其れなりの成績で卒業した天眞は私にとってちょっとした自慢になった。

其れに昔は女の子みたいに可愛い顔立ちをしていた天眞は成長すると共に其の可愛らしさは艶やかで綺麗な造形に変化して行った。

私にとっては其の見た目の良さも誇れるものになっていて、事ある毎に天眞を連れて歩いて友だちや知り合いの女の子たちの羨望の眼差しを浴びたものだった。


『凛子さま、何なりとお申し付けください。私は凛子さまだけのお世話係なのですから』

「…」

天眞はいつも優しく私に接してくれた。

どんな我儘にも嫌な顔ひとつ見せた事がなかった天眞。

(其れなのに…)

先刻の天眞の行動が酷くショックだった。

早乙女という誇りある家名もお金が無くなって借金を作ってしまえばただの普通の落ちぶれた家名になってしまうのだと思い知った。

(だけど一日にしてこの変わり様…なんだかなぁ)

怒涛の出来事は、私から気力と体力を奪っていった。

(これからどうしよう…何処に行ったらいいの?)

この時になってやっと私は屋敷を出て、何処へ行けばいいのか解らないという事に気が付いたのだった。


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世界の中心に暴君 4話



『ねぇ、これ何』
『凛子さま、どうして其れを』
『天眞の部屋の机の引き出しに入っていた。ねぇ、この手紙の返事、どうしたの』
『凛子さま、また私の部屋に入って勝手に引き出しを開けたのですか』
『そんな事はどうでもいいのよ!其れよりこのラブレターの返事、どうしたのよ』
『勿論丁重にお断りしました』
『だったらなんでこんな手紙取ってあるのよ。他にも沢山あったわねぇ』
『人の気持ちがこもったものを無下には出来ません。いずれきちんと焚き上げようと取っておいただけで』

ビリビリッ

『!』
『そんな事するまでもないわよ。私がこうやってぜーんぶ破いてやったから』
『…』
『天眞は私の世話係なんだから私以外の女とどうこうなるなんて絶対赦さない!其れ、天眞はちゃんと解ってるの?!』
『…はい、重々承知しています。私は凛子さまに生涯お付きするために生きているのです』
『そっ、解っていればいいの』
『…』


(あぁ…そういえばそんな事もあったわね)

昔からモテていた天眞がラブレターを貰って来る度に家探しして見つけては片っ端から破いていた。

其れは単に私の所有物である天眞が私以外の女に心を向ける事が赦せなくてとった行動だったけれど…

(今覚えば私、天眞には色々酷い事、して来たかも)

なんだかフワフワした感覚の中で色々思い出し、気持ちが暗く沈んだ。



「…ごめ…ん…天、眞ぁ」

「…」

なんだかあたたかな温もりで意識が目覚めて来た。

「…んっ」
「目が覚めたか」
「……」

凄く近くで聞こえた低い声にぼやけていた思考は徐々に覚醒して来た。

「目が覚めたならこの手をどけてくれ」
「……へ」

覚醒した私は目に前にあった顔に盛大に驚いた。

「きゃ、きゃぁぁぁぁっ!」
「煩い、何時だと思っている」
「な、なっ…なななな…」


なんで…


なんで…


(天眞が寝ている私に覆い被さっているのぉぉぉー?!)

「あ、あっ、あんた」
「一応云っておくが、別におまえを襲った訳じゃない。何か寝言を云っていたから訊こうとして近づいたらいきなりおまえが俺の胸ぐらを掴んで顔を寄せたんだ」
「はっ?な、なんで」
「其れはこっちが訊きたい事だ」
「…」

(ちょっと…待って)

なんだか色々訊きたい事が山積みで…

(な、何から訊けばいいの?!)

私は上半身を起こし、周りの風景を見渡した。

すると其処は知らない小屋、みたいな処だった。

「こ、此処…何処?私確か門に向かって歩いていたはず」
「門の横のベンチに腰掛けて寝ていたぞ」
「えっ」
「其のまま放置していても良かったんだが、もはや所有者でもない人間が敷地内にいたとあっては後々問題になるから仕方がなく家に連れて来たんだ」
「い、家?此処…が?」

(いや、何処からどう見ても小屋でしょう?!)

「はぁ…本当成金娘の偏見癖には辟易する」
「え」
「此処は俺の立派な家だ。部屋だって二間あるし、トイレと風呂だってついている」
「…もしかして…天眞の実家、なの?」
「そうだ」
「!」

(昔、借金のカタに抵当に入れられそうになったという家っていうのがこの古い木造の小屋だって事なの?!)

私は驚き過ぎて口が開いたまま呆けてしまった。

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世界の中心に暴君 5話



築何年経っているか解らない程に古さを感じる処にいる私は、只今絶賛混乱の渦の中に突っ立っていた。

「おまえが今、何を考えているのかが手に取る様に解る。だけどなこんな平屋のボロ屋だって俺やおふくろにとっては父親が残してくれた唯一の財産なんだ」
「…」
「其れを馬鹿にする事はいくらおまえでも赦さない」
「…」

(これ…天眞、なの?)

家の小ささや古さにも勿論驚いているけれど、其れ以上に驚いているのは目の前にいる天眞、だった。

先刻から口の悪さマックスで私に喋っている男は本当にあの天眞──なのだろうかと眉間に皺を寄せた。

「なんだ、其の顏は」
「…あんた、なんでそんな口が悪いの」
「…」
「私に向かってよくもそんなタメ口全開で気安く喋っているわね!何なのよ一体っ」
「此処は俺の家だ」
「は?」
「俺が家主で、おまえは厄介になっている立場の人間だ」
「や、厄介って…!勝手に連れて来てどの口が云ってるのよ!」
「じゃあ出て行け」
「…は」

冷たい視線と口調に一瞬体に冷たいものが走った。

「此処から出て何処へなりとも行けばいい。自分で部屋を借りて仕事を見つけて、自立して生活するために朝から晩まで汗水垂らして働くといい」
「…」
「其れがおまえに出来るのか?」
「…」
「出来ないんだろう?所詮温室育ちの根っからの我儘お嬢のおまえには」
「…」
「其れともおまえを囲ってくれる男でもいるか?いるなら其処へ行けばいい」
「…」
「まぁ、どうでもいい。ただ此処が厭なら出て行けと云っているだけだ」
「……ひっ」
「なんだ」
「ひぃっく…」
「…」

訳が解らない内に涙が出て来てしゃくり上げだ。

突然屋敷を追い出され、ひとりぼっちになって行く当てもないまま途方に暮れた。

唯一頼りにしていいと思っていた天眞から投げ掛けられた数々の酷い言葉に私の心はポッキリと折れた気がした。

「ひぃ…ひっく…」
「──泣くなんて反則だ」
「ひっ…ひっ、ふぇ……ぐすっ」
「くそっ」
「!」

いきなり天眞が私の肩に手を置き、其のまま敷かれている布団の上に押し倒した。

「よく訊け、凛子」
「!」

(名前、呼び捨てっ?!)

其の驚きも相当なものだったけれど、次に云われた言葉にも相当な衝撃を受けた。

「おまえは此処で暮らすんだ」
「…」
「家の事を少しずつでいいから覚え、そして出来る様になるんだ」
「…」
「此処で少しずつ今までの裕福な生活の癖を直して自立出来る様になるんだ」
「じ、自立…?」
「そうだ。其れまでは俺がおまえを養ってやる」
「…」
「家の事をやれば其の他は自由にしていい──ただし」
「…ただし?」
「…」

少し云うのを躊躇った天眞は、何かを吹っ切る様に数回頭を振って、そして真っ直ぐに私を見て云った。

「此処にいる間は俺のいう事を訊く事が条件だ」
「…」
「勿論──こういう行為を俺が求める時はおまえに拒否権はない」
「! んっ」

いきなり天眞の唇が私のものに重なった。

昼間されたキスの感触が蘇る。

だけど昼間の様に直ぐには離してくれなくて…

「んっ、んっん」
「ん…ん」

執拗に貪られ、そして唇を割られた隙間から舌を捻じ込まれた。

(やっ!ふ、深いっ)

「ん!んっんっ」

体を捩ってかわそうとするけれど、天眞は其れを赦さなかった。

「!」

濃厚なキスの合間に気が付けば私の衣服は乱され、やがて天眞の唇は露わになった私の胸に移動していたのだった。

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