──最近天眞の様子がおかしい



「わぁ~此処素敵ね!」
「ん?…あぁ、そうだな」

分厚い雑誌は重くて長時間持ち続けられない。

卓袱台の上に広げて私と天眞は顔を寄せ合う様に其れを眺める。


天眞からのプロポーズを受けてから一ヶ月。

私たちは結婚式を挙げる準備を少しずつ始めていた。

結婚に関して少し前までの私なら果てしなく広がる夢を持っていた。

海外の海の見える教会で盛大に行われる式。

日本古来の粛々とした雰囲気の中で行われる式。

外国の古城を借り切って豪勢に行われる式。

夢ばかり膨らんでいた。

だけど今の私にとってはそんな豪華な式よりも、天眞とふたりこじんまりと挙げられるだけでも幸せな事だと思っている。

例え誰にも祝福されなくたって天眞さえ隣にいてくれたら…

(私は其れだけで幸せよ)


「ん~此処素敵だけど…少し値段が張るわね」
「…」
「どうして招待客のモデルケースがどれも30名なのかしら。こんなに招待しないっていうのに」
「…」
「でも金額はこのケースから考えると随分少なくなるって事よね?だったら──」
「…」
「ちょっと、天眞?」
「…」
「天眞!」
「!」

耳元で大きな声を出した私に驚いた天眞はハッとした顔で私から少し距離を取った。

「もう、なんなのよ先刻から」
「あ…何が」
「何がじゃない!先刻から私が結婚式場についてあれこれ喋っているのに、天眞ったら訊いているんだか訊いていないんだか」
「あ、あぁ…すまなかった」
「…」

まただ、と思った。

最近の天眞は何かおかしい。

最初におかしいと思ったのはいつだったか。

(確か…私が結婚情報誌を買って来てからだったような…)

ふたり揃ってどんな式場でどんな式を挙げようかと雑誌を観ながら話していたけれど、次第に天眞は其の表情を強張らせるようになっていった。

初めは気のせいだろうか──思っていたけれど

(やっぱり今日もおかしい)

疑念が確信に変わった瞬間だった。

「…ねぇ、天眞。あんたもしかして結婚、したくないの?」
「──は」

私は思っていた事をズバッと訊いた。

私の性格上ハッキリしない事は直接訊き出してスッキリしたいという気持ちが強いから。

気持ちがすれ違ったまま進めていい事じゃないと思うからちゃんとハッキリしたいと思った。

「なんだか天眞、式場探しになると途端に上の空になっている」
「…そうか?」
「そうだよ、全然乗り気じゃない!──其れって私との結婚に踏み切れない何かがあるって事なの?」
「何を云っているんだ、凛子は」
「あっ!」

急に手首を掴まれ、其のまま天眞の元に体が引き寄せられた。

「俺が凛子と結婚したくないなんてどの口が云う」
「だ、だって──んっ!」

いきなり押し付けられた天眞の唇はあっという間に私の口を割ってヌッと熱い舌を差し入れた。

「ん、んっ…ふぅん…!」
「…」

ヌチャヌチャと音を立てて貪られる其の行為に次第に体から力が抜け、其のまま天眞にされるがまま押し倒された。

「はぁ…はぁはぁ…」
「凛子…俺は一日でも早くおまえが俺のために着飾った純白の衣装姿を見るのが愉しみで堪らないんだ」
「て…天眞…」
「出来れば一生、忘れられない式を挙げさせたいと思っている」
「…ぅん」
「だから──俺を疑うな」
「あっ」

濃厚なキスですっかり蕩けてしまっている私の中にいきなり天眞の熱いモノがメリメリと入り込んで来た。

(いつの間にっ?!)

キスの合間に脱がされていた下半身は露わになって天眞のモノをグイグイと呑み込んでいた。

「はぅぅっ、あ、あっ!」
「ふっ──今日も凄いな…凛子」
「やぁ…て、天眞っ…苦し…っ」

グッグッと奥深くに押し込められるモノによって息が苦しい。

「加減出来ない…んっ、凛子が…ぁっ、凛子が可愛過ぎて…ん」
「はぁはぁ…あっ、あっぁ」

天眞の激しい腰遣いに合わせる様に私の腰もつい動いてしまう。

其れはきっと冷静な気持ちのままだったらとても恥ずかしい奇妙な動きだ。

でも天眞から誘(イザナ)われる行為が私から羞恥心を奪い、厭らしくも獣の様な動きで応えてしまう。

「はぁ…最高だ、凛子…俺の可愛い凛子」
「…天…まぁ」

毎晩濃厚に愛される私は天眞の私に対する愛情を一片たりとも疑う事はなかった。

天眞は心から私を愛しているのだと──この時の私はそう信じきっていたのだ。

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