FlowerLeaf

*AriaLien Sub BLOG*

2017年07月

世界の中心に暴君 26話



「ねぇ、もういい加減其の呼び方、止めてくれない?」
「え」

ポチャンと天井からの雫が湯船に落ちる。

昼過ぎに始まった甘い時間は結局陽が暮れるまで続き、折角の休日だというのに何ともあっけなく終わろうとしていた。

ふたりでお風呂に入る事も日常化している今、天眞が家にいる間はいつもふたりくっついている状態だった。

「私の事、いつまで『お嬢様』って呼ぶつもり?」
「何かご不満でも?」
「不満だらけよ!私はもうお嬢様じゃないわ」
「…」
「早乙女の家が無くなって、天眞と一緒に住む様になって恋人同士って関係になってどれくらい経つと思っているの」
「さほど経っていない様に思えますが」
「其れって云いかえれば天眞の中では私はまだ『お嬢様』のままって事なのよね?」
「は?」

ザッと湯船のお湯が大きく揺れた。

背中越しにしていた会話を私は向きを変え、天真と向かい合って顔を突き合わせてから続けた。

「『凛子』って呼んでいたじゃない」
「…」
「まだこの家に来たばかりの頃、天眞は私の事を『凛子』って呼んでいた」
「其れは…事情が事情で」
「嬉しかったのに…」
「…」
「天眞が名前で呼んでくれるの…嬉しかったのに」
「…」
「どうしてまた『お嬢様』なんて呼び方に戻っちゃったのよ!」
「…お嬢様」
「ほら、また!」

そう。

私はこの天眞の『お嬢様』呼びに腹が立っていた。

天眞が嘘の性格を装って私を苛めていた時には『凛子』と呼んでいた。

其の時はなんだか天眞との距離がとても身近なものに感じられてとても嬉しかった。

だけど真実が明らかになった途端、また天眞の『お嬢様』呼びが復活したのだ。

「私…まだ何も変わっていないの?」
「…」
「一生懸命一般常識を身に着けて、あの世間知らずな時よりは幾分マシになっていると思っていたのに…」
「…」
「天眞の中ではまだ私は何も変わっていないって事なの?だからちゃんと名前で呼んでくれないの?!」
「…」

今私が思っている事全てを吐き出してみた。

私は天眞ともっともっと身も心も…

全てを通して寄り添い合いたいと思っているからこその不満だった。

「…」

私の言葉を始終黙って訊いていた天眞は身動ぎひとつしなかった。

「ちょっと、天真、訊いているの?」
「え…あ、はい」
「何よ、其の気の抜けた返事」
「えぇっと……お嬢様、可愛いですねぇ」
「はっ?!」

トロンと惚けた表情になった天眞はいきなり私をギュッと抱きしめた。

「はぁ…お嬢様」
「ちょ、ちょっと!何いきなり抱きついて──って!ちょっと何処触ってるのよ」
「ふふっ、お嬢様、お湯の中なのに濡れているのが解りますよ」
「あっ…!や…ちょっとっ」

密着した状態で天眞は私の中に指を差し入れ始めた。

フニフニと擦られる度にゾクゾクとした快感が駆け抜ける。

「はぁ…お嬢様、我慢出来ません」
「!」

ふわっと持ち上がった体は天眞の雄々しく勃ち上がっているモノの真上に下ろされた。

「ふぁぁああ、あふっ」
「んっ!あぁっ」

ズブズブと私の中に挿入ってくる天眞の太さで息が出来なくなりそうに苦しくなった。

「あ…あっ…」
「はぁ…当たっていますね」
「んっ…やぁ…」

最奥をコリコリと突かれ体がビクンビクンと撓る。

(や…イ、イッちゃいそう~~)

突然始まった行為に今までの思考が浚われそうだった。

「お嬢様…お嬢様…いい、いいですよ…」
「はぁん…はぁ、はぁ」

ゆさゆさと体が上下に揺れる度に湯船のお湯も波を立てた。

(なんで…なんで急に始まったの?)

私は真面目な話をしていたはずだ。

思っている事を吐き出して、天眞が其れを受け入れてくれれば其れで終わったはずの話だった。

──なのに

「て…天眞ぁ…名前…名前、呼んでぇ」
「…」
「凛子って…呼んで」
「…」

私が願望を口にするとまた天眞は黙ってしまった。

(何…名前、呼びたくないの?!)

どう考えてもそうとしか思えない天眞の行動に厭な感じがした。

「も…もう厭っ…!名前呼んでくれなきゃ止め──」
「ませんよ、お嬢様」
「!」

ガシッと腰を掴まれ、其のまま天眞は激しく腰を振り出した。

「あぁぁぁっ!あん、あん、あんっ」
「ふっ…くっ」

密着した体はどんなにもがいても離れなくて、結局騎乗位のまま私はイカされてしまった。

(どうして…どうして名前、呼んでくれないの…)

あまりにも激しい攻めのせいで私の意識は徐々に遠のいて行ってしまったのだった。


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世界の中心に暴君 25話





ピンポーン♪


「はぁ~い」

ガチャッ

「こんにちは、あの、此方で何か不要になった電化製品とかございませんか?」
「は?不要になった…?」
「はい、只今無料でお引き取りしているのですが」
「無料…?」
「はい、何かありましたら此方で引き取って処分いたしますけど」
「なんで無料で持って行ってくれるの?」
「え」
「私、知っているわよ。家電リサイクル法!捨てる時にはお金を払わなくてはいけないのよ」
「…えぇ、そうです、よね」
「なのに何故あなたは無料で引き取ると云うの?其処には何か儲けの秘密があるの?」
「え…えぇっと…」

「許可証をお持ちですか」

「えっ」
「あ、天眞」
「【一般廃棄物処理業】の許可証です。廃家電を家庭から回収するには許可が要りますよね」
「あ…えっ…えっと…す、すみません、お邪魔しました」
「あっ」

要らなくなった家電を回収しに来たという若い男の子はそそくさといなくなってしまった。

「…なんだったんだろう?今の」
「お嬢様」
「なぁに」
「ちょっと此方に来てお座りください。説教します」
「えっ、な、なんで!」
「いいから」
「~~~」

(や、やだなぁ、何かお説教される事したかな)


私、早乙女凛子、21歳。

私が元・執事兼お世話係の加々宮天眞と暮らし始めてから半年が経とうとしていた。


「お嬢様、何故玄関を開けたのですか」
「何故ってインターホンが鳴ったから」
「何故相手を確認しないで開けたのですか」
「確認…」
「今日はたまたま俺がいたからよかったものの、お嬢様ひとりだった時にあの手の悪質業者に踏み込まれて絡まれたらどうする気だったのですか」
「えっ、あの人、悪質業者なの?!」
「多分下っ端の者でしょうけど…俺、前々から云っていましたよね?簡単にドアを開けてはいけないと」
「そ…そうだけど…でも私、ちゃんと対応出来ると思ったから──えっ!」

ドンッ

いきなり今まで見ていた視界が変わった。

其れは天眞に腕を掴まれ、其のまま畳に組み敷かれた事による変化だった。

「て、天眞…?」
「こうやって押し倒されても、お嬢様は抵抗出来るのですか?」
「っ!」

強く押し付けられた腕を動かそうとしてもピクリとも動かない。

「こうやって…迫って来ても抵抗出来るのですか?」
「! ひゃっ」

天眞の唇が私の首筋を這い、きつく押し当てられる。

そして其のまま天眞の唇は私のものを食む。

「んっ」
「…っ」

角度を変え何度も浅いキスが降り注ぎ、其の内其れは深いものになって行く。

「ふぅん…んっ」
「はぁ…ん、ん」

ねっとりと口内を蹂躙され、気が遠くなりそうになった頃やっと離してもらえた。

「っはぁ…あっ…はぁ…」
「抵抗、出来ないじゃないですか」
「…」
「お願いですから…もっと危機意識を持ってください。俺がいつでもお嬢様をお守り出来る訳ではないんですよ」
「…天眞だから…」
「え」
「天眞だから…抵抗しなかっただけ」
「…」
「天眞以外の男が私にこんな事をしたら…どんな事をしてでも抵抗するわよ」
「だから、女の力ではいとも容易く──」
「いざとなったら急所蹴り飛ばしてでも逃げてやるから!」
「!」

(確かに不用意にドアを開けてしまった事は反省する処だけれど…)

私は天眞が心配するほど弱くはない──つもりだ。

「…天眞、ごめんね。これからはちゃんと来た人を確かめてから開ける事にするから」
「……」
「だから怒らないで?こうやって襲われても私、絶対逃げ出してみせるから」
「……ったなぁ」
「え」
「参ったな…本当…お嬢様には敵わない」
「天眞?」
「俺の可愛いお嬢様、説教は終わりです」
「そ…そう…よかった」

柔らかな表情を見せた天眞に安心してホッと安堵のため息が出る。

──だけど

「説教は終わりですがお仕置きはします」
「!? な、何でっ」
「お嬢様が俺を煽ったからです」
「あっ…あお…って…ないわよ!ないない」
「いいえ、充分煽りました──其の罪は深いですよ」
「! ちょっと、何いきなり脱がしてるの?!」
「啼かせたいです、お嬢様を」
「! あぁっん」

下着を脱がされ大きく開かされた脚の間に天眞は体を滑り込ませ、あっという間に硬いモノを私の中に捻じ込んだ。

「ふぅ…んっ…はしたないですね、お嬢様。ヌレヌレじゃないですか」
「やぁ…んっ!天眞ぁ…は、激しいっ」
「お嬢様がそうさせているんですよ?ん…っ…全く…いつの間にこんなに淫乱になってしまわれたんですか」
「天眞!天眞のせいだよぉ──あっ!あぁぁんっ」

グチャグチャと卑猥な音が休日の昼下がり、ボロい平屋の我が家に響き渡る。

天眞から教え込まれる事が増えて行く度に私は世間知らずの元・お嬢様からは遠ざかって行く。

大きな屋敷や豊かな生活など失ったものは沢山あったけれど、其の代わりに慎ましい中にも心が豊かになる生活や愛おしい人など得るものも沢山あった。


「あぁ…お嬢様…お嬢様っ」
「…」


──だけど天眞から受けるあるたったひとつの事のせいで、私は中々昔の私と完全に決別する事が出来ないでいたのだった


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世界の中心に暴君 24話



「負債を肩代わりする代わりにお嬢様を下さいとお願いしました。そして『凛子がいいと云ったならやろう』と仰ってくださいました」
「お父様が?!」

信じられなかった。

いくら切羽詰まっている状態だったとはいえ、よく考えれば其れはお金で娘を売った事になるのではないかと。

「お嬢様は社長と俺との間にそういったやりとりがあったのを知ってショックですか?」
「…そうね、少し…ショック、かも」
「…」
「私はお金で売られたって訳だものね」
「社長はひとり娘であるお嬢様には特別甘かった」
「え」
「お嬢様以外の人間には冷血で、特に金を借りて返せない負債者には厳しかった」
「…」
「最初はそうとしか思えなかった。だけど──違ったんです」
「え」
「社長は確かに他人には厳しい方でした。でも懐に入った人間には情を持って接していた。意地っ張りで人見知りで照れ屋な性格が災いして表の部分の顔しか知らない人間には恨まれる事もありましたが、本当の社長を知ると本当の顏はそうじゃないのだと──長年社長に仕えた俺は知りました」
「…」
「金が返せない負債者の中には性質(タチ)の悪いものもあって、返せる金額でも返済を渋って踏み倒す輩がいるのです。そういった人間には殊更厳しく接していましたが、俺の母の時の様に、本当に支払えない極限状態の負債者には情けを持って救済措置を取っていました」
「そ、そう、なの?」
「えぇ。俺は長年近くで見て来ましたら。だから解ったのです。あの時、13年前の母が直訴に来た時も仮にお嬢様の件がなくても多分母の願いは遠回しに訊き入れられたのだろうと」
「…」

其れは知らない事だった。

(私以外の事では厳しいばかりのお父様だと思っていた)

「本当はお嬢様が知る社長が本当の社長なのです」
「…天眞」
「そんな社長ですから人を見る目はあったのだと思います。お嬢様に対して酷い扱いをする様な人間に大切なひとり娘を託すとは思えません」
「!」
「俺が本気で本心からお嬢様の事が欲しいのだと、そう訴えた気持ちを汲んで託してくださったのだと思うのです」
「…」
「だからどうか社長がお嬢様をお金で売ったという様な考えは持たないでください」
「…うん…うん」

天眞から云われた言葉は素直に私の心に中に入って来た。

お父様の私への愛情は嘘なんかじゃないって信じられるから。

「お嬢様…俺は本当にお嬢様の事を愛しているのです」
「…うん」

甘く囁かれながら唇に何度もキスされる。

「ずっと欲しくて…俺だけのものにしたくて…俺だけがお嬢様の全てを知るたったひとりの男になりたいんです」
「…天眞」

天眞から与えられる言葉と蕩ける程に甘美な行為は、朝の忙しない時間帯だというのを忘れて其のまま身を委ねてしまう事になる。

「…ん、お嬢、さま」
「はぁ…天眞ぁ…会社、遅刻しちゃうわよ」
「いいんです…だって俺が社長なんですから」
「…暴君」
「お嬢様に云われたくないですねぇ…んっ」
「あっ」

とっくにトロトロに蕩けている私の中に、天眞のモノは滑り込む様に挿入って来た。

「ふっ、お嬢様、こんなに濡らして…はしたないですよ」
「う、煩いなぁ…ふぁっ」
「狭いですね…あっ、でも…んっ、素晴らしく気持ちがいい…んっ」
「ひゃっ」

緩やかな抜き差しが数回、少し腰遣いが激しくなったと思った瞬間、天眞のモノは私の最奥を突いた。

其処からはもうお決まりの様にお互いが腰をくねらせ、快楽のまま体を重ね合った。

狭い居間で繰り広げられる愛のある行為に身も心も潤んでしまい、時間を忘れて快楽の波に漂ったのだった。






「あぁ!いけない、もうこんな時間だっ」
「はぁ…だから云ったのに」

朝のセックスは危険だ。

快楽のまま呆ければあっという間に時間が経ってしまうから。

「お嬢様、今夜は帰りが遅くなるかも知れませんが寂しくても泣いてはいけませんよ」
「な、泣かないわよ!サッサと会社に行きなさい!」
「はい、行ってまいります」
「!」

玄関を出る間際に頬にチュッとキスをされた。

其れはまるで絵に描いた様な新婚さんシーンみたいで一気に顔が赤くなった。

慌てて出て行った天眞を見送りながらしばらく其の場で茫然と立ち尽くす。

(ふ、不意打ちに慣れない!)

天眞にキスされた頬にやんわりと掌を置く。

じんわりと熱を持っているのが解って、益々恥ずかしくなった。

好きな人から受ける言葉、行動、行為、其の何もかもがちょっとした事でもあり得ない程の幸福感をもたらすのだと知った。

(お金があった時よりもずっと沢山幸せな気持ちになっている)

もしかしたら贅沢な生活を続けていたら気が付かなかった幸せかもしれない。

今となってはほんの数ヶ月前の悩んで泣いて苦しんだどん底の時が懐かしい。

あれがあったから今の私がいる。


細やかながらも決してお金では買えない幸福というものを手に入れる事が出来た喜びに、私はいつまでも浸ってしまうのだった。


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世界の中心に暴君 23話



私と天眞の生活は、気持ちがすれ違っていた同居から一転、気持ちが通い合った甘い同棲という形態に変わっていた。

「お嬢様、今朝は洋食です」
「ありがとう、天眞」

恭しく出された洋食──といっても単に食パンをトーストしたものと、ハムエッグとレタスが3切れ程乗ったワンプレートだ。

でも私にとっては其れだけでも立派な朝食だった。

天眞とふたりで質素でも美味しい食事を一緒に食べられる幸せを私は理解出来るようになっていたのだ。

「お嬢様、俺は今日も仕事に出かけますがおひとりでお留守番、大丈夫ですか?」
「あのさ、今までだって昼間はひとりだったじゃない。何よ急に」
「本当は!ずっと心配で心配で仕方がなかったんです!でも嘘の性格を演じている以上はそんな素振りを見せられなかったし…いっその事盗聴器と監視カメラでも仕掛けようと思った事も」
「! や、止めてよ、そんな怖い事っ」
「思う寸でで止めましたけれど」
「…」

(何…この天眞の豹変ぶり)

屋敷にいた頃は寡黙でクールで少し素っ気無い処が妙にカッコいいなと思っていた。

だけど本当の天眞はこんなにも心配性で過保護でちょっと電波っぽい束縛男だったのかと知ると少し可笑しかった。

「お嬢様、何をニヤけているのですか」
「あ、いや別に──其れより天眞、仕事って今、何をしているのよ」
「え」

ずっと気になっていた。

早乙女の会社が倒産して、屋敷も借金の返済のために持って行かれてしまって、そんな状態で天眞は残務処理以外に何の仕事をしているのかと。

「仕事に行っているって事は転職したって事よね?何の仕事をしているの?」
「えぇっと…其の」
「何よ、歯切れが悪いわね。私には云えない会社で働いているの?」
「そ、そんな事はありません!俺はお嬢様に云えない事などもう──」
「じゃあ云いなさいよ」

私が少し冷たく問いかけると天眞はあっさり陥落する。

(そういう処も可愛くていいんだけど)

「…リンテンという会社でレンタル業をしています」
「リンテン?聞いた事のない会社ね」
「一応お嬢様の【凛子】のリンと俺の【天眞】のテンから取ってつけたのですが…変、ですか?」
「──は?」

(ちょ、ちょっと待って?!今…なんかおかしな事を)

「俺はいい名前だと思うのですが」
「ちょっと待って!ど、どういう事よ、其の会社に私と天眞の名前を付けたって」
「だって俺の会社なので好き勝手に社名をつけました」
「?!」

(か、会社?!天眞の?!)

「どういう事っ!」
「実は俺、トレーダーが副業だったんです」
「ト、トレーダーって…株とかを売ったり買ったりする…投資家って事?」
「はい。社長の元で働いている内に興味を持って独学で学んで。最初はゲーム感覚だったのですが其の内大きな金額を動かす様になり、気が付いたら」
「気が付いたら?」
「ある程度の会社を買い取れるぐらいには稼ぐ事が出来ていました」
「??!!」

初めて訊かされた天眞の隠れた才能にただただ驚いた。

「じゃ、じゃあ天眞って…お金持ちだって事?!」
「まぁ…早乙女の会社が倒産する前までは」
「? どういう事」
「早乙女の倒産に伴い発生した負債にほぼ有り金全額消えました」
「…え」

其れは青天の霹靂だった。

私の全く知らない処で繰り広げられていた出来事で、本当に今、驚きの気持ちでいっぱいだった。

「ある程度大きな金額の負債は早めに補てんした方がいいとの事だったので差し迫った分のものは俺の金で支払いました。もっとも全てがチャラになる程の金額ではなかったので屋敷は残額の返済にやむなく差し押さえられてしまいましたが」
「天眞…あんた一体どれだけのお金を早乙女のために使ったっていうの?」
「お嬢様は何も知らなくていいのです。既に俺と社長の間で話は済んでいるのですから」
「…」
「屋敷を残せなかった事だけが心残りですが、其れでも差し迫った借金はほぼないのです」
「!」

まさかそんな事になっていただなんて知らなかった。

(私には何の苦労もなく、知らない間に何もかもが解決していただなんて…)

「まぁ、貯金はゼロになりましたが其れでも俺には小さいながらも会社を起ち上げる事が出来ましたし、毎日働けば日々の暮しにはさほど困らない程度の稼ぎもありますし、何もいう事はありません」
「天眞…」

私は申し訳ない気持ちでいっぱいになって思わず天眞に抱き付いた。

「お、お嬢様っ」
「ごめん…本当にごめんね…!お父様の尻拭いをあんたにさせて…折角のお金を早乙女のために使ってしまって私…どうやってお詫びすれば」
「…お嬢様、俺は嬉しいのです」
「え」

抱きついていた体を少し離され、天眞は私の顔を覗き込む様に云った。

「お嬢様が俺なんかにそんな殊勝な言葉を掛けて下さるなんて…其れだけで俺はもう充分お礼を頂いています」
「天眞…」
「──其れに」
「あっ」

いきなり体がグラつき、其のまま畳に押し倒された。

「俺はお嬢様を手に入れる事が出来た」
「!」
「本当の事をいうと社長にも承認済みの事だったんです」
「な、何が」
「早乙女の借金を肩代わりする代わりに俺にお嬢様を下さいとお願いしました」
「!」

其れも今初めて知った事で、本当にもう驚きっぱなしの朝の事だった。


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世界の中心に暴君 22話



天眞の驚くべき告白はまだ続いていた。

「お嬢様を此処に連れて来たのは俺の手元に置いておきたかったという気持ちが大きいです」
「…はぁ」
「でも其れと同時に、今までの様な安穏な生活をもう送る事は出来なくなったのです。お嬢様にとってはこれから酷な現実が待っているのです。そんな現状に嘆いて儚んでお嬢様がどうにかなってしまう事を俺は一番に恐れました」
「…」
「だから俺は今までの性格を変え、お嬢様に対して高飛車な態度を取り俺を憎む様に仕向けました」
「なんで」
「憎しみは生きる原動力になると思ったからです。俺の事を憎んで、俺の元から去りたいと思う様になればお嬢様はどんな形であれ生き続けてくれるだろうと思ったからです」
「天眞…」

やっといきなり私に対して暴君になった訳が解った。

確かにあの時、絶望していた私にとっては天眞から受けた仕打ちに対して反骨心が芽生え、其れが今までの生きて行く上で必要最低限の知識を学んだきっかけになったのだ。

(すべては私のために…)

天眞の告白に胸が熱くなった。

其れと同時にこんなにまで愛されていたのだと気がついて、もう私の気持ちは揺るぎないものになっていた。

「でもだからといって俺はやり過ぎました。お嬢様の事を想いながらも…い、厭がるお嬢様を…欲望のまま穢した罪は決して赦される事では」
「好きだったんでしょう?」
「──え」

私は天眞の元に近寄って、スルリと天眞の頬に掌を当て其のままキスした。

「!」
「んっ」

強く押した唇を直ぐに離し、其のまま天眞の目をジッと見つめた。

「お、嬢様…」
「天眞は私の事を好きで…抱いたんでしょう?」
「…」
「私だって…本当に…本当に厭だったら何が何でも抵抗した。でも…しなかった」
「…」
「私が気がつかない処で心と体はもう…天眞を受け入れていたんだと思う。だから私は」
「! お、お嬢様っ」

其のまま私は天眞を畳に押し倒した。

そして天眞の下半身にそっと掌を押し当てた。

「!」
「なぁに、この膨らみ」
「っ、お嬢、さま」
「先刻のキスで天眞、欲情しちゃったの?」
「~~~」

この家に来てから初めて私と天眞の立場は逆転した。

昔からの、私が主で天眞が世話係だった時の様に其の主従関係が復活した瞬間だった。




「お、お嬢さ…まっ」
「んっ…いい?天眞…気持ち、いい?」
「は、はい…あっ、あっ」

天眞を押し倒した私は其のまま騎乗位で天眞を冒していた。

今まで散々天眞から受けていた行為によって私は一端の女になっていたから、こんな恥ずかしい行為もすんなりやってしまえる様になっていたのだ。

「はぁ…奥まで…っ、あ、あぁぁっ」
「お嬢様…あっ、も、もう…で、出て…しまいますっ」
「いいわよ、出して」
「え」

グチュグチュと響く水音に私は酔っていた。

自分本位で腰をくねらせ、いい処に当たる様に天眞のモノを咥え込んでいる。

其の快感の辿り着く先はもう決まっていた。

「出して…天眞の…私の中にいっぱい出して」
「…お嬢さ、ま」
「天眞は私のものよ、全部…全部!心も体も…精液一滴だって私のものなんだから」
「…はい」

少し躊躇いながらもとても嬉しそうな顔をして天眞は私の中に盛大に精液を放った。

其の初めての感触に私は何ともいえない至福のひとときを感じたのだった。


「はぁはぁ…はぁ…」

イッたばかりの天眞の上気した顔が酷く艶っぽくて淫靡で、其れを眺めている私は堪らなかった。

「天眞ばかり気持ちよくなってズルい」
「…はぁ…あ、お嬢様」
「今度は私を気持ちよくしてくれるんでしょう?」
「あっ」

徐に立ち上がった私の中から天眞のモノがズルッと抜け、其のまま私の中からはポタポタと天眞の精液が垂れ落ちた。

「天眞、今度は私をイかせて頂戴」
「は、はい…仰せのままに」

自分でも可笑しな事を云っているなと思った。

だけど長年沁みついて来た私のお嬢気質は一瞬にして復活してしまったし、そんな私にぞんざいに扱われても悦んでいる天眞を見ると、やっぱり私たちはこういう関係の方がしっくりしているのかなと思ったのだった。

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