『ねぇ、これ何』
『凛子さま、どうして其れを』
『天眞の部屋の机の引き出しに入っていた。ねぇ、この手紙の返事、どうしたの』
『凛子さま、また私の部屋に入って勝手に引き出しを開けたのですか』
『そんな事はどうでもいいのよ!其れよりこのラブレターの返事、どうしたのよ』
『勿論丁重にお断りしました』
『だったらなんでこんな手紙取ってあるのよ。他にも沢山あったわねぇ』
『人の気持ちがこもったものを無下には出来ません。いずれきちんと焚き上げようと取っておいただけで』

ビリビリッ

『!』
『そんな事するまでもないわよ。私がこうやってぜーんぶ破いてやったから』
『…』
『天眞は私の世話係なんだから私以外の女とどうこうなるなんて絶対赦さない!其れ、天眞はちゃんと解ってるの?!』
『…はい、重々承知しています。私は凛子さまに生涯お付きするために生きているのです』
『そっ、解っていればいいの』
『…』


(あぁ…そういえばそんな事もあったわね)

昔からモテていた天眞がラブレターを貰って来る度に家探しして見つけては片っ端から破いていた。

其れは単に私の所有物である天眞が私以外の女に心を向ける事が赦せなくてとった行動だったけれど…

(今覚えば私、天眞には色々酷い事、して来たかも)

なんだかフワフワした感覚の中で色々思い出し、気持ちが暗く沈んだ。



「…ごめ…ん…天、眞ぁ」

「…」

なんだかあたたかな温もりで意識が目覚めて来た。

「…んっ」
「目が覚めたか」
「……」

凄く近くで聞こえた低い声にぼやけていた思考は徐々に覚醒して来た。

「目が覚めたならこの手をどけてくれ」
「……へ」

覚醒した私は目に前にあった顔に盛大に驚いた。

「きゃ、きゃぁぁぁぁっ!」
「煩い、何時だと思っている」
「な、なっ…なななな…」


なんで…


なんで…


(天眞が寝ている私に覆い被さっているのぉぉぉー?!)

「あ、あっ、あんた」
「一応云っておくが、別におまえを襲った訳じゃない。何か寝言を云っていたから訊こうとして近づいたらいきなりおまえが俺の胸ぐらを掴んで顔を寄せたんだ」
「はっ?な、なんで」
「其れはこっちが訊きたい事だ」
「…」

(ちょっと…待って)

なんだか色々訊きたい事が山積みで…

(な、何から訊けばいいの?!)

私は上半身を起こし、周りの風景を見渡した。

すると其処は知らない小屋、みたいな処だった。

「こ、此処…何処?私確か門に向かって歩いていたはず」
「門の横のベンチに腰掛けて寝ていたぞ」
「えっ」
「其のまま放置していても良かったんだが、もはや所有者でもない人間が敷地内にいたとあっては後々問題になるから仕方がなく家に連れて来たんだ」
「い、家?此処…が?」

(いや、何処からどう見ても小屋でしょう?!)

「はぁ…本当成金娘の偏見癖には辟易する」
「え」
「此処は俺の立派な家だ。部屋だって二間あるし、トイレと風呂だってついている」
「…もしかして…天眞の実家、なの?」
「そうだ」
「!」

(昔、借金のカタに抵当に入れられそうになったという家っていうのがこの古い木造の小屋だって事なの?!)

私は驚き過ぎて口が開いたまま呆けてしまった。

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