真裕さんと結婚すると決めたものの、話はそう簡単には進まなかった。


「とりあえず俺の手術が終わるまでは婚約という形にしておきたいんだけど」
「どうして?私はすぐにでも真裕さんのお嫁さんになりたい」

真裕さんの部屋で甘いひと時を過ごしている時の会話は、もっぱら結婚に関する事が多くなった。

「そう云ってくれるのは嬉しいんけどね…んっ、なんていうか…あっ、俺のなけなしのプライドっていうかさ」
「あっ…ん…プ、プライド?」
「そう……あっ、ちょっとごめん、んっ…んんんっ」
「あ、あぁぁっ、んっ──」

緩やかな動きで奥深くを擦られ続け、ジワジワと感じていた気持ちよさは一気に爆発して私の中をうねらせた。

「あ、あっ…あっ…」
「んんっ…ん」

奥深くに挿入っている真裕さんのモノをギュッギュッと締め上げると、其れに応える様にビュッビュッと熱い精を放たれた。

「…はぁ、はぁ…はぁはぁ…」
「真裕さん…大丈夫?」
「ん、大丈夫…はぁ、あ…気持ちよさの方が上回っている…」
「…」

逢うといつも求められる。

私も真裕さんが欲しくて堪らないからつい応じてしまうけれど、セックス中はつい夢中になって激しい動きをする事があった。

其の都度真裕さんは苦悶に満ちた表情をする事があったけれど、行為を止めるという事はなく、結局いつも最後まで愛し合ってしまうのだった。

(セックスって心臓に負担かかっているのかな…)

そんな疑問があるけれど、恥ずかしくて中々誰かに訊くという事が出来ない。

真裕さんがいつも「大丈夫だから」と云う言葉だけを頼りに応えてしまうのだけれど…

「澪、どうしたの?」
「あ、ううん、なんでもない」
「そう?あ、俺の事、心配しているなら無用だよ」
「え」
「別にセックス禁止令出ていないから」
「!」

云われた言葉に真っ赤になった。

「あははっ、やっぱり気にしていたの?大丈夫だよ。ちゃんとお医者さんの許可貰っているから」
「きょ、許可?!」
「うん、其の手の話も報告しているんだ。だから心配しないでいいよ」
「~~~」

其れは其れで恥ずかしい事だと思ったけれど、お医者さんの指導の下での行為なら大丈夫なのかなと少し安心したのだった。



身なりを整え、私の淹れたお茶を飲みながら先刻していた話の続きをした。

「澪のお母さんに結婚の挨拶に行くとか…そういう具体的な話は俺の手術が終わってからでもいいかな?」
「どうして?」
「んーなんかさ…よく考えたんだけど、俺、やっぱり少しはマシな体になってから堂々と澪のお母さんには挨拶したいなと思って」
「…」
「今の状態の、不安定な体調の俺じゃなくて、絶対に大丈夫です、娘さんを生涯かけて幸せに出来ますっていう自信を持って挨拶したいんだ」
「…真裕さん」
「だから少しだけ待ってくれる?手術が終わって元気になるまでのほんの数ヶ月の事なんだけど」
「…うん、解った」
「澪」

真裕さんのいう事はとても解った。

元気になったらという気持ちが大きいのも理解出来たから、私は逸る気持ちを抑えて今は婚約という期間を愉しもうと思ったのだった。





『よかったじゃん、澪!』

「うん…ありがとう」

私はとりあえず何かと気にかけてくれていた水穂にだけは事の成り行きを報告しようと連絡した。

『手術も絶対成功するよ、絶対大丈夫だから。ね、澪』

「うん、勿論そう思っているよ。そんなに難しい手術じゃないって訊いているし」

『しかし…いい人だね、生瀬さん。こうやって話を訊いているだけでも澪の事ちゃんと愛しているって解るよ』

「は、恥ずかしいなぁ」

水穂の素直な賛辞にどうしても照れてしまう。

『で?手術日決まったの?』

「うん、一ヶ月後に。真裕さんの担当のお医者さんが執刀してくれる事になって」

『有名な先生なんでしょう?心臓に関しては。だったらもう100%安心だね』

「本当すごく偉い先生なんだって。ネットで調べたら色々情報が出て来て、評判のいい先生でね」



私は幸せの真っ只中にいた。

これから来るだろう明るい未来にどうしても胸が高鳴って…

今まで生きて来た中で、最高に甘くふわふわとした時間を漂っていたのだった。


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