初めて自覚した『好き』という気持ちを抱きつつ、私は間宮くんと最初で最後のデートをした。

定番だけど遊園地に行って、一日愉しく過ごした。


「なんで北森さんってお化け屋敷平気なんだよ」
「だって全部作り物じゃない」
「いやいや、こういう処って本当に幽霊、出るんだよ」
「脅かしてもダメ。私、そういうの平気なの」
「なんだよー怖がる女の子を助ける頼れる俺っていう目論見大外れじゃん」
「ふふっ、そんな事考えていたんだ」

たった一日一緒にいただけで、随分間宮くんの事が解った様な気がした。

「あ~俺、柑橘系ダメなんだ」
「そうなの?スポーツ得意だからレモンとか好きだと思っていた」
「其れ偏見。酸っぱいものは全般ダメ」
「そうなんだ」

知らなかった面や、知った事が沢山あって、私は間宮くんと一緒にいればいるほどにグングン惹かれて行くのが解った。


(…あぁ…失敗、したかなぁ)

陽が傾きかける頃、やっと私は其の事に気が付いた。



冬季の遊園地は閉園時間が早かった。

蛍の光が流れる中、私と間宮くんは人の波に乗って出入り口ゲートに向かって歩いていた。

「一日って早いね」
「…うん」

間宮くんが話しかけてくれるひと言ひと言が私の気持ちを暗くした。

「愉しい時間って早く過ぎるんだなって今日、実感した」
「…うん」

別れる時間が刻一刻と迫る中、私の胸は苦しくて苦しくて、周りの空気が薄くなって酸欠状態になっているんじゃないかと思う位に息苦しかった。

「北森さん、大丈夫?!」
「あっ」

気が付くと私は足元から崩れそうになっていて、其れを間宮くんが抱きかかえてくれていた。

「顔色が悪い。気分、悪い?」
「……ふっ」
「? 北森さん」
「や…やだぁ」
「!」

私の我慢の限界はあっけなく来た。

「やだよ…間宮くん…わた、私…好きだよ、間宮くんの事」
「…」
「アメリカなんて…そんな遠くに行っちゃうなんて厭だぁ」
「…」

私は今日一日で間宮くんの事を想って泣くぐらいに好きになってしまった。

憧れの気持ちはあっという間に本物の恋へと変貌してしまったのだ。

「ひっ…ひぃくっ」
「…北森さん」

私が泣きじゃくっている間、間宮くんは私をギュッと抱きしめながら背中をポンポンしてくれていた。

其の感触の気持ちよさと、優しい振動が私の荒ぶった気持ちを鎮めてくれた。

「…ごめんね、間宮くん。もう大丈──」
「──したくない」
「え」

少し放された体を間宮くんに向き合った時、間宮くんは真剣な眼差しで云った。

「これで…終わりにしたくない」
「…」


──間宮くんの其の短い言葉の中には、色んな意味が込められていた

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